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税理士の名義貸し

 右は、日弁連が公表した某弁護士の懲戒処分理由の一部です。 気になったのは、「税理士としての名義貸し行為」という認定です。 私自身は、資格のある者が法文書等に署名・押印すれば文書の作成者ですから、最終責任者ですから、ことの良し悪しは別として、名義貸しになるとは思いませんでした。私が「名義貸し」をしていると聞かされた例は、資格がない人に資格のある人が自分の名前で業務をするのを許容しているものでした。以来、それが「名義貸し」だと思っていました。

処分の理由の要旨

  被懲戒者は、2012年8月から2014年6月までの間、税理士資格を有しないAが作成した税務申告書類等に署名押印し、又は被懲戒者が代表を務める弁護士法人Aの社員であったB弁護士に署名押印させる方法により、税理士としての名義貸し行為を行った。


 確かに、公表されている税理士の懲戒処分例を見ると、署名する税理士が申告書類を確認していたとしても名義貸しになるとされています。事案を読むと、懲戒処分をされた税理士は「自らが最終的に責任を持てば名義貸しにならないと解釈していた」ということのようです。私と同じです。ですから驚きなのです。申告書類なんて実際に自分で数字を書き込んでつくるなんてしません(それはパソコンがしています?)。文書の作成者はその文書に署名・押印した者というのが弁護士の考えだと思います。となると、名義貸しの線引きが気になるのですが、回避策を見ていると、クライアントと税理士の間に契約関係があればよいということのようです。つまり申告委任の契約の有無で別れるようです。

 そこで思ったのですが、弁護士の場合は、クライアントと委任契約がないまま事務処理をすれば「無権代理」になります。懲戒処分の対象にもなるでしょうし、その法律行為は無効です。クライアントからの損害賠償請求があっても免れません。税理士の場合も同じではないでしょうか。「委任状」「代理権限証書」と表現は違いますが、代理権限を授与する委任契約に変わりはないと思います。

 そこで、本件の弁護士についての処分理由ですが、弁護士が税務代理の委任状を得ないで税務申告書類を作成していたとすれば無権代理だと思います。ただ、何の委任状も付けないで申告書を提出しているとは考えにくいので、当該委任状(代理権限証書?)の受任者として当の弁護士名が記載されていて、依頼者がそれを承知したとすれば、自分が依頼した申告書類が作成されているのですから、依頼者が問題にするとは思えません(公表されている処分要旨でわかる範囲では懲戒請求者はいません)。弁護士が本人の意思を確認していないとしても、委任者が当該弁護士に委任することを認識して委任状又は代理権限証書を授与していたのなら、委任がなかったとまでは言えないような気がします。申告内容が間違っているとか、事実関係の確認を怠っているというのは別問題です。それらは、契約上の債務不履行の問題ではあっても、無権代理になるのでしょうか。実際の事実関係はわかりませんが、もし、被懲戒弁護士が懲戒請求者の自分宛の委任にもとづいてAが内容を記載した税務書類に自己作成の書類として署名・押印又は記名・押印をしたのであれば、無権代理にもなりませんし、「名義貸し」に該当するというのは、私には納得しがたい結論です。

 次に、「又は被懲戒者が代表を務める弁護士法人Aの社員であったB弁護士に署名押印させる方法により」というのは更に気になります。税務書類はB弁護士が作成した文書になります。B弁護士に税務申告代理をする資格があるという前提でなければB弁護士名義の書類を作成する意味がありませんが、そうすると、Aが作成した税務書類にB弁護士の署名押印をさせた行為は、だれがだれの名義を貸したことになるのでしょうか。被懲戒弁護士が処分をされているのですから、被懲戒者が名義を貸したことが問題になると思うのですが、同僚社員のB弁護士に資格があるのであれば、名義貸しをする必要もないし、それが名義貸しとも思えないのですが。B弁護士に資格がないなら、署名・押印させる意味がありません。そもそも、このAとは何者なんでしょう。もしかすると、「A法人」のことでしょうか。そうすると、ますますわからなくなります。

 追 記

 私は、この処分が間違っていると断定しているわけではありません。被懲戒弁護士がしていた行為の実態がわかりません。別の情報では、知人が作成した数百人分の申告書に署名・押印をしていたということです。こんなに多くの税務書類をすべて点検した上で、自己の作成文書にするべく署名・押印していたとは思えません。内容をチェックせずに署名・押印していたとすれば、印鑑を渡していたのと変わらないことになります。それは、自分の名前で仕事をすることを許しているのに等しくなりますから、名板貸しと評価されても仕方ないかもしれません。

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