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「 CHART税務判定」で司法試験租税法の問題を解いてみる。

   事案の当事者についての課税関係の結論を求めてみました。

  条文の趣旨や制度の意義などについてはCHARTでは対応できません。

  事実関係の前提さえわかれば、法人、個人を問わず、課税関係、所得計算などは本CHARTで基本的な筋道と結論は出せると思います。


平成30年度 

 

第1問  損害賠償金の課税問題

 

事故態様 

 甲㈱の社員Ⅹの勤務中の事故 

 Ⅹの過失(酒気帯び運転) 

 被害者A 個人事業主 

      業務中の事故 

損害 

 A 治療費10万円 

   業務用バイク修理費 10万円 

   休業損害 10万円 

 B社 業務用トラック

    修理費用 400万円

 

XとAの示談 

100万円で示談

 

甲社の処理 

 Xが無資力と判定 

 400万円の貸倒損失 経理処理 

(400万円の損害賠償請求権の全額を貸倒損失として経理処理)

 

設問 1 Aの課税範囲 

 Aの精神的苦痛の慰謝ℍは15万円程度 

 Aが受取った100万円の課税範囲 

 

 CHART 権利の取得と課税関係/具体的確定債権・損害賠償金/損害補てん金/原則非課税→損害賠償金は非課税 

 

又は 

 

 CHART 権利の取得と課税関係/具体的確定債権・損害賠償金/★損害賠償金の課税関係/不法行為/受領者は個人/④補償金→①心身障害による休業補償→非課税損害賠償金

 

 

  いずれも同じ結論ページに到達します。 末尾に掲載したのがそのCHARTの結論部分です。ここから課税関係の結論を出すことが可能です。 

 「適正額超過部分は非課税になりません。 →適正額超過部分」 

 

  その前に「例外」についての記述がありますから、これを先に検討 

■  例外  

 補償金(失った収益の補償)は原則として課税対象になります(所令94条本文、同30二括弧書き、同30三括弧書き)。 

 □例外 

  心身の傷害に基因する休業補償は補償金ですが非課税です(所令30一括 弧書き)。 

 

 Xの損害のうち、補償金の性質を持つものは休業損害。 

 しかし、本件では「心身の障害に基因する休業損害」ですから非課税です。 

 他の、治療費、物損、慰謝料等の非課税はCHARTの結論解説記事で非課税と判断できます。 

 

 次の適正額超過分の問題がメインです。 

 Aは客観的損害額45万円を超える100万円を受領しています。

 

 CHARTの「適正額超過部分」についてのホップアップ記事は次のとおりです。 

 債権者が、和解で資産の対価や損害賠償金などの名目で受領する金員やその支払請求権が適正な額を超えている部分です。

  

  これに該当することがわかりますから、結論は非課税になりません。すなわち、超過部分を超える55万円は所得税の非課税の範囲を超えるものとして課税収入になります。

 

  さらに、適正額超過部分はリンクしています(末尾掲載図参照)。そちらの記事から、超過部分が受贈益になることがわかります。さらに、「■ 適正な額、過大か否かの判定は困難です」という解説もありますから、本件の事例にあてはめる参考になります。問題文にある事案では、当事者の認識も客観的損害を超えていることから、適正額超過であることは明らかです。

 

設問2 B社が貸倒損失として処理した400万円の全額を損金算入できるか。

 

 Xが無資力、貸倒処理をするのは法的にはXに対する債権の放棄と理解した場合。

 

  CHART 債権の回収不能と税務/債務者の無資力/事実上の貸倒れ/債権者は法人/要件を満たせば損金算入できます。 

(1)事実上の貸倒

  債務者の資産状態、支払能力等からみて、その全額が回収できないことが明らであれば、その貸倒損失を損金の額に算入することができます(法基通9-6-2)。

  

  一応、全額が回収できないことが明らかであれば、甲社は損金経理をしているのですから、400万円を貸倒処理(損金算入)することができます。 

  結論は出せるということです。

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平成31(令和元)年度 

 

第1問 不動産の低額譲渡、資産損失等 

 

甲と乙は親子 

甲はA社の代表取締役 乙はA社の従業員 

A社→乙  H29年3月31日 本件不動産譲渡  譲渡価額 簿価3000万円 

                            時価4000万円 

 

設問1 A社が乙に本件不動産を売却したことに関する益金の計上 

法人の個人に対する不動産売却 

     売買価額3000万円 時価4000万円 低額譲渡 

 

CHART 税務判定/低額譲渡・高額譲渡の課税/譲渡人の課税/譲渡人は法人/譲受人は個人/譲渡価額は譲渡時の資産の価額を下回る/譲受人は役員又は従業員/譲渡価額と時価との差額1000万円がA社の乙に対する役員報酬になります。 

 こういう結論が出ます。 

 

 設問は「益金の額への計上とその理由」ですが、「条文とその趣旨にも触れつつ」となっています。本来、こういう趣旨を問う問題については、CHARTは対応できないのですが、ここではCHARTの結論に在る解説(末尾「結論1」参照)で骨子は導けます。 

 

 法人は、経済的利益を追求する主体ですから、資産の譲渡時における価額よりも低額で譲渡するという営利目的に反する行為はしないことになっています。

譲渡法人は、一旦譲渡時における価額(時価)相当額で譲渡したことになります。

  

 実務解説ですから、いちいち益金の趣旨や条文に触れていませんが、譲渡時における不動産の時価相当額で譲渡したことになるので4000万円を益金に計上する結論は出ています。理由がこれだけでは物足りないですが、法人は「営利目的に反する行為はしない」が関わる部分だと思います。

 

設問2 設問1のA社の損金の額への計上 

 

 CHARTは設問1と同じです。 

 役員報酬となる結論はすでに出ています(設問1のCHARTの結論)。 

 理由は、解説の次の部分になります(末尾「結論1」参照。差額が役員報酬になるのがポイントですが、損金算入が制限されることまで触れる必要があります。

 

譲受人の役員らは、譲渡法人から、資産を安く入手できた分が役員報酬等の利得になります。法人にとっては役員報酬の支払いになりますが(法基通9-2-9(2) 法基通9-2-9(2))、役員報酬については損金算入が制限されています(法法34①一、二 ④)。

当該従業員が、いわゆる特殊関係使用人の場合で、かつ「不相当に高額な部分」の金額については損金算入できません(法法36)。

 

 甲の息子乙が特殊関係使用人になること及び不当に高額な金額に該当する場合は損金算入が制限されることは、試験問題に引用されている法法令72及び72の2の条文から導けます。CHARTでもそのことは説いています。

 

 簿価が損金算入されることについては、CHARTでは当然のことで触れていません。取得原価が損金に算入されるのは法法22③一を引用すればよいと思います。 

 

設問3 個人所有建物の暴風雪被害の所得税法上の取り扱い。

 

    賃貸中の建物  被害額40万円 

    災害による資産損失 

    小規模賃貸→業務的規模の不動産所得の業務用資産 

 

CHART 税務判定/資産損失の税務/個人の固定資産損失/事業に至らない規模の不動所得→業務用固定資産/生活に通常必要でない資産以外/災害が損失発生原因/雑損控除に対象となり得る(所法72①)。 

 

 乙は、平成30年分の所得税の計算において、総所得金額等の合計額300万円から40万円を控除できます(所得控除)。

 

 いちおう、こんな結論になります。

 

CHARTでは次のように続きます 

納税者は次のいずれかを選択できます。所基通72-1

 ① 雑所得又は業務的規模の不動産所得の必要経費算入 所法51④

 ② 雑損控除 

  

しかし、試験では所基通72-1は見られませんから、おそらく、所法72①の適用要件の検討で雑損控除ができるという結論をだせば足りるのでしょう。損失の必要経費算入(所法51④)ではないことに気づけばよいのだと思います。 

問題は「生活に通常必要でない資産」が同条の適用除外事由になっていることです(所法72①括弧書き)。裏返すと「生活に通常必要な資産」が要件です。 

 

設問4 事業活動で生じた損失の所得税法と法人税法の取扱いの最も特徴的な差異と理由

 

  CHARTでは残念ながら対応できません。

結論 1

結論 2

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