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1

相続開始後の法律と相続税の問題

 

 質 問【Keyword】

回答(一見解)

1

【相続税申告用紙の送付】

 

相続が開始したのですが、税務署から相続税の申告書用紙が送られてきていないケースです。「当局には、申告するほどの遺産がないとみられている」という認識でよろしいでしょうか。

 そのような判断をできる根拠はありません。逆の場合(申告用紙や「お尋ね」が送られてきた場合)なら、申告が必要という可能性は高いとは思いますが、それも断定はできません。

税務署が申告書用紙や「お尋ね」を相続人の代表者と思われる人に送付するのは、それなりのデータがあるからですが、あくまで相続税の課税案件か否かは相続財産の規模、課税価格の合計額で決まります。1-2参照。

2

【申告を要しない遺産額】

 

相続税の申告をしなければならないかどうかの判断基準を尋ねられた場合は、相続財産の金額としてはいくらくらいを目安に答えればよいのでしょう。

 一般相談なら、相続財産の総額から相続債務と葬式費用を控除して、それに3年以内贈与の額を加算した額が遺産に係る基礎控除の金額を上回っていると、相続税の申告が必要と答えることにしています。一般相談では概ねその程度で判断できます。

 ただし、各種減額ないし税額控除の特例などもありますから、断定できないことはもちろんです。

4-1-1「取得財産、課税価格、課税価格の合計額」

4-1-2「遺産に係る基礎控除額と課税遺産総額」

3

【共同相続人からの離脱】

【相続分の放棄】

「遺産をもらわなくてもいいので、一切相続問題に関わらなくてもよいようにしてほしい」という相続人からの相談に困惑しています。

 遺産分割の当事者から抜けたいのであれば当該相続人の相続分を全部他の相続人に譲渡させる方法があります。

 もう一つは相続分の放棄です。相続の放棄をする機会を逸しても、相続分を放棄することは可能と解されています。

 相続分の全部を譲渡した相続人や相続分を放棄した相続人は、遺産分割調停でも出頭を免除されています。

4‐Q3相続人間での相続分の譲渡

4‐4‐7「相続分の譲渡」

▶相続分譲渡の法律問題

4

【検認不出頭の不利益】

 

家庭裁判所から遺言の検認をするので出頭するようにとの通知がきました。出頭しないと何か不利益に扱われることがありますか。

 不利益扱いはされません。相続に係る裁判でも不利になることはありません。ペナルティーを科せられることもありません。相続人や受遺者であることに変わりありません。

 出頭するのは、検認申請者の遺言書発見の経緯などの説明を聞く機会になります。

5

【遺言書の発見者や保管者の義務】

 

故人の遺品を整理していて遺言書を見つけたという人からの相談がありました。まず、最初にすることのアドバイスとしてはどんなことでしょう。

 それが自筆証書遺言であれば、家庭裁判所に行って検認の申立をするようにアドバイスしてください。遺言書を発見した人又は保管をしていた人は家庭裁判所に検認の請求を遅滞なくする必要があります(民法1004①)。怠ると過料の制裁があります(同1005)。

 また、封がしてある遺言書を勝手に開封しないように助言してください。

その遺言書が公正証書遺言であれば検認は不要です。

6

【遺言書の検認と効果】

【検認証明書】

 

遺言書の検認は、当該遺言書の有効・無効とは関係ないということですが、なぜ検認をするのですか。検認していない遺言書とどこが違うのですか。

 検認済証明書がないと、預金の払戻し、相続登記等の遺言の執行ができません。

検認は、家庭裁判所が相続人に対して、遺言書の存在及びその内容を知らせるものです。検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。検認が終わると、裁判所が遺言書に「検認済証明書」を付けます。

7

【遺産内容の不知と申告義務】

 

仲たがいして対立する相続人の一方ですが、他の相続人から「相続税の申告は自分でしろ」と突き放されています。しかし、遺産の内容については他の相続人は何も教えてくれないそうです。対処方法等を尋ねられています。

 できるだけ調べて、わかる範囲の相続財産をもとにして申告をすることを説明するくらいしかできません。

申告期限は相続が開始したことを知った日の翌日から10か月以内です。遺産の内容がわからないというだけでは、申告期限を延長されることはありません。申告義務も納税義務も免除されません。無申告加算税や過少申告加算税の加算税も免除されません。

現実には、後日に想定される税務署の調査時に事情を話して、他の相続人の申告内容に合わせて修正申告等をすることになると思います。

3-Q1共同で相続税の申告ができない場合の申告書

3-Q2共同相続人の申告書の閲覧

8

【遺産情報開示義務】

 

相続財産の詳細を教えてもらえなかったために相続税について過少申告加算税と延滞税を課されました。遺産の全容を知っていて教えてくれなかった他の相続人に払わせることはできないのでしょうか。

 他の相続人に支払いをさせる法的な根拠はありません。

 正確な相続税の申告ができなかったことについて附帯税を課税された相続人が、他の相続人に対して損害賠償請求をすることが考えられますが、相続税の申告は相続人それぞれ義務ですから、各相続人の調査と判断でするのが法の建前です。不法行為の立証は困難であると言わねばなりません。

9

【隠蔽遺産の発覚】

 

相続人の一人が遺産を隠蔽していたことが税務調査で発覚しました。修正申告をしたのですが、相続税の増額だけでなく加算税が課されるとのことです。隠匿のことなどまったく知らなかった相続人にもこれらの税金が課されるのでしょうか。

 実務は隠蔽などに加担していない共同相続人にも加算税を課する傾向が強いと言えます。

隠蔽していた相続人に申告を任せていた場合は、自分が過少申告であることを認識していなくても重加算税などが課せられるというのが先例です。 

隠匿財産を取得した相続人は、取得財産の課税価格が増えるため、当然相続税額も増えますが、相続税の課税価格の合計額が増えたことによる相続税額の増加分は他の相続人の相続税額も増額させる恐れがあります。

 なお、配偶者税額軽減特例(相法19の2)の適用限度額の計算に際しては仮装・隠蔽に係る財産の価額は除外して計算します。

4‐5‐3「配偶者の税額軽減特例」

10

【一部相続人による申告】

 

相続税の申告に協力しない相続人がいる場合は、申告はその者を抜きにできますか。

 できます。ただし、その相続人が取得した財産も含めて相続税の計算をします。遺産分割ができていない場合は、各相続人が法定相続分で取得したものとして計算します。

3-Q1 共同で相続税の申告ができない場合の申告書

11

【遺産の独占使用】

【共有遺産の管理】

 

遺産分割を拒否している長兄が遺産の不動産に住み続けています。他の相続人はその不動産の固定資産税を分担していますが不満です。せめて長兄に家賃でも支払わせることができれば我慢してもらえのですが、賃料相当の支払請求をすることは可能でしょうか。

 法的な効果がある請求としては難しいです。

 住み続けているというのは、元々そこに住んでいて被相続人と同居していたと推測できますので、それを前提に検討します。長兄は共同相続人として共有持分を有していますから、共有物全部を使用、利用する権利があります。不当利得をしていることにはならないのです。ただ、他の共有者(相続人)の持分合計が長兄の持分を上回るなら、共有物の管理方法として長兄に使用料を支払わせる決定をすることは考えられますが、支払いを法的に強制できるかは疑問です。交渉によって共有物の使用の対価を支払わせる契約を結ぶ方策を検討してください。

 

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 弁護士・税理士

 山 名 隆 男

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 TEL 075-222-0475

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