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2 危険がいっぱい 改正相続法  ·  2020/01/05

夫婦間の特別寄与料請求③ 解説編

結論の解説

 

① A、B、Cについては、特別寄与料の額600万円と各自の負担額各100万円は確定しています。ですから、この相続人らはこの額を相続の取得財産の価額から控除できます(相法13④)。しかし、乙に特別寄与料の額や負担額300万円を負担させるのは無理です。乙にとっては、YとAが決めた特別寄与料です。同意なしに義務や債務を負わされることはありません。そのため、乙は相続税の申告に際して300万円を負担額として控除することはできません。

  一方、Yは、支払われることが確定した特別寄与料については10か月以内に相続税の申告をすることになります(相法29①)。みなし遺贈になります。確定しているのは乙を除いたA、B、Cの負担額合計300万円です。乙の負担額は確定していません。 

 

② その後、Yと乙が協議しをして、特別寄与料の金額を確定させることができます。その場合、他の相続人との間で確定した600万円とは異なる特別寄与料の金額が合意されることもやむを得ないことです。仮に、総額400万円、乙の負担額200万円と合意した場合ですが、乙は、甲に係る相続税の申告について、200万円を控除した相続税額に更正の請求をすることができます(相法32①七)。しかし、他の相続人の申告済み相続税には影響しないと解しています。 

 この場合、確定した各自の負担額は次のとおりです。 

  A、B、C   各 100万円   計300万円 

  乙                 200万円 

                                    合計500万円

 

  そして、Yのみなし遺贈による取得財産の額は、各相続人の上記負担額に対応する特別寄与料額ですから、同じ500万円です。Yは既に申告している相続税について、新たに乙の負担額についてみなし遺贈の課税価格が増額(300万円→500万円)するため修正申告をすることになります(相法29①)。 

 特別寄与料について、相続人について異なる負担額が確定しますが、相続税の総額は変わりません。

 

③ Yが乙について請求しないまま6か月の除斥期間(民法10502②但書き)を経過してしまった場合は、免除にはならないと思います。これは、Yが乙に対する請求権を失うことになりますが、それだけで乙に免除益等の経済的利益が帰属するとは解しません。具体的な負担額が確定していなかったからです。なお、Yの相続人に対する特別寄与料の請求権が連帯債務であるのなら、乙に対する請求権だけが除斥期間にかかるようなことはないのですが、個々の相続人に対して請求できることを重視して、少なくとも連帯債務ではないと解しています。

 特別寄与料が客観的適正額を超過している場合

 贈与が疑われる場合

 

相続 税法IN民法

3-3-5特別の寄与

事例2の解説から

 

 馴合いで特別寄与料の金額を合意することは想定できます。もし、YとAが馴合いで、客観的な特別寄与料(400万円と仮定)と乖離した金額を合意したのであれば、客観的に相当な特別寄与料に基づくAの負担額(400万円×1/6=66.6万円)を超える金額(100万円-66.6万円=33.4万円)はAのYに対する贈与とならないでしょうか。純然たる理屈だけで言えば、超過金額は贈与になるのだと思います(私見)。この理解では、Aは、負担額となった100万円のうち相続税の計算上控除できるのは66.6万円のみで、超過分33.4万円はYへの贈与ということになります。それが馴合いによる特別寄与料であることをBが知っていたのなら、Bも客観的な負担額を超える金額33.4万円を贈与したことになります。その場合は、AもBも、その贈与したことになる金額は相続税の申告に際して控除できないという解釈になると思います。Yも、みなし遺贈として相続税の取得財産に算入できる金額はA、B、Cとも各66.6万円のみとなります。

 

しかし、このように対処するのが当然とか必然というわけではありません。というのは、特別寄与料は被相続人の遺産のうち特別寄与者の寄与によって形成された財産をその特別寄与者に相続人を通じて還元させるものですから、被相続人から給付されるべきであった財産と考えると、金額にかかわらず被相続人からの遺贈(みなし遺贈)と理解してもよいのではと思ってしまいます。実際、「客観的に相当な特別寄与料の額」は税務当局に判断するのは困難ですから、特別寄与者と相続人全員が協議して特別寄与料を確定してしまうと、よほどの事情がない限り、その金額を否認にされることはないと思います。また、相続人の取得財産として課税されるか、特別寄与者のみなし遺贈財産として課税されるかの違いがあるだけで、課税上は特段の不都合があるとは思えません。もとより、特別寄与料が無制限でよいというのではありません。
そうすると、不相当な特別寄与料の額が問題になるのは、相続人によってその確定額が異なるような場合に限られるのが実際で、それも、実際に一部を贈与として課税しなければならないケースとなれば更に限られるように思います。馴合いでの合意には贈与の意図があると思います。それが顕著の場合は見逃すわけにはいかないと思います。

 

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